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R-1グランプリ優勝は濱田祐太郎
2018年「R-1グランプリ」でなんとほぼ全盲の障害者、濱田祐太郎さんが優勝した。
しかし、世の中的には障害者を笑ってはいけない風潮があり、攻め込んだNHK「バリバラ」は評価される一方で引かれてもいる。なのに、なぜ視聴者67%、審査員票を含めても倍以上圧勝して笑わせられたのか。
その答えが自分なりにわかったので書いてみた。
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なぜ濱田祐太郎はほぼ全盲の障害者なのに笑えるのか
まずはじめに「濱田祐太郎はなぜ盲目障害者なのに笑えるのか」なんて偉そうなタイトルを付けてしまってことについてごめんなさい。ぼくは芸人の経験は一切ないし、障害者の代表でもない。ただ、自分が障害者である以上、障害者としての生き方や社会との関係、表現方法についてはそれなりに考えてきた。そして、お笑い芸人になってみたいと養成所を調べたこともあるし、自分が芸人になったらどんなネタならウケるか考えたことがある。それなりの割合の人には引かれるんだろうな、叩かれるんだろうな、と思ったりした。ところが濱田祐太郎さんは大ウケしたし、障害者によくある気持ち悪さも笑っちゃいけない空気も全然なかった。何故だろうか。
ところでぼくが、監督と男優をしてSNSで批判はされても業界人や上の人に叩かれて潰されることはなかった理由と戦略は前に書いた。
また、ぼくは障害者だけれど、障害者でも他の障害者に対して、物珍しく思ったり、卑しい目で見てしまったり、可哀想と感じたりすることもある。バリバラ SHOW-1グランプリなんてものがあって、難聴、高次脳機能障害のTASKEさんと脊髄性筋萎縮症で寝たきり芸人のあそどっくさんのこんな企画もあったりした。
しかし、Twitterに書いたけれど、障害があるのに面白いだけで、芸人さんとして立派に面白いわけではなかった。障害を利用して笑いにして伝えることは画期的で革命的だと思ったけれど、笑っていいのかわからないところや引いてしまうところもあった。あくまでも障害者のお笑いという檻の中にいた。
障害者で面白い芸人さんはいた。しかし、障害があるのに面白いだけで、芸人さんとして最上位ではなかった。あくまで障害の壁の中にいた。それが、障害の壁を越えて笑いの上位12人に入ったのはすごい。
「R―1ぐらんぷり決勝」史上初の異色芸人・濱田祐太郎https://t.co/TXCADj3ScB @YahooNewsTopics
— にしくん / Kohey Nishi (@kohey_nishi) March 7, 2018
それに対して濱田祐太郎さんがその檻の外で全ピン芸人の中で一番になったのは間違いなく引いてしまう要素と笑っちゃいけない空気がなかったからだ。何故こんなに引かず遠慮なく笑えるのだろう。
「迷った場合は笑ってください」
というつかみが最高だったのもあるけれど、もう1つ大きな違いがあった。
「濱田祐太郎さん自身では笑わせていない」
濱田祐太郎さんは、自分自身の自虐ではなく、自分の周りの健常者の友達や学校の先生の言動をネタにしているのだ。例えば、盲学校に通っていて全員が目が悪いはずなのに黒板がある。しかし、チョークも黒板消しもない。何故か先生に聞いたら「使わないから」と言われた。「黒板も使わないだろ!」「黒板を置くのは学校としてのプライドか?」と続くわけだけれど、先生と学校に対してだから遠慮なく笑えるのだ。濱田祐太郎さんのネタで笑っているけれど、濱田祐太郎さんを笑うのではなく、濱田祐太郎さんの話術でわかりやすく面白くなった、友人や先生の言動について笑うことになっていたのだ。
あらためて年下だし芸人でもないのに評論ごめんなさい。しかし、障害者と表現については人一倍考えてきたと自負している者として書きたくなって仕方なかったので書いてみた。
濱田祐太郎さんは「まだ決勝戦でも不完全燃焼で、自分でも納得できていない。来年も出場して、ちゃんと自分が納得できる喋りをしたい。自分が納得できなかったら意味がないと思う」と言った。もしかしたら芸人としての話術やテクニックだけでは優勝出来ないレベルだったのかもしれない。しかし、ほぼ全盲という障害によって体験してきたことの蓄積と新しさなどが面白さをプラスして優勝に導いたなら、濱田祐太郎さんにとって障害は武器で、障害は一概にマイナスじゃないことの1つの証明になる。それがぼくは嬉しい。